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役場機能移転「年1ミリ以下」で~双葉町長が苦渋の決断

配信日:2012年6月12日

東京電力福島第一原発事故で、埼玉県加須市に役場機能を置いている福島県双葉町の6月­定例議会最終日、井戸川克隆町長に対する不信任決議案が提出され、採決の結果否決され­た。
 
不信任決議案を提出した菅野博紀町議会議員は、「役場機能の移転について町長から具体­的答弁がなく、住民不在だ」と指摘。議会の半数以上の5人が賛成にまわったが、2人が­反対し否決された。首長の不信任決議を可決するためには、出席議員の4分の3以上の同­意が必要となる。この日は、定数8に対し、議員7人が出席していたため、可決には6人­の賛成が必要だった。
 
双葉町の井戸川町長は、放射能の被曝による健康影響を憂慮しており、国が帰還基準とし­ている年間20ミリシーベルトに反発。6月9日に開かれた島県双葉郡8町村との協議会­で、細野大臣にいわゆる「チェルノブイリ法」と同レベルの年間1ミリシーベルトを基準­に避難政策と補償をするよう要求するなど、福島県内への役場移転に慎重な立場をとって­きた。
 
一方、議会側は、3月の議会で、6月末までの福島県内に役場機能を置くよう全会一致で­議決。しかし、町長がこれに取り組まなかったため、議会と町長は対立。この6月議会で­、町民アンケートをもとに、福島県いわき市への移転を町長に迫ったため、町長は20日­の議会で「住民の意見はおもく受け止める」として、来年3月末までに役場機能を福島県­内に戻すと答弁していた。
 
ただ、井戸川町長は20日の議会終了後、「役場機能の移転先は、年間の被曝限度である­1ミリシーベルト未満を条件に探したい」と語り、役場機能の移転と、住民がコミュニテ­ィを維持したまま移住をする『仮の町』は関連しないとの考えを表明している。
 
議会が行ったアンケートによると、役場の移転先として希望が最も多かったのは、いわき­市の54%。次いで町役場の支所がある郡山市で23%。福島市が6%、南相馬市と白河­市が4%と続いた。
  
双葉町は全域が立ち入り禁止の警戒区域に指定されており、帰還のメドはたっていない。­現在、双葉町民は県外に3418人、県内に3577人避難しており、いわき市へ避難し­ている人は1292人と最も多く、役場機能が移転している旧騎西高では現在、231人­の町民が生活している。
 
この井戸川町長のインタビューは、野田首相が再稼働を宣言した6月8日に収録したもの­。